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提物屋ニュースレター バックナンバー Vol.3

節分と升升半升

今年の一月は、北海道から九州まで冬の女王が
雪で覆い尽くしてしまいましたが、来週はもう「節分」と「立春」。

百花に先駆けて咲くという梅花の便りと共にいよいよ
二十四節気第一の訪れです。

節分では、全国の年男や厄年の方々が
悪霊退散、無病息災の願いをこめて
「鬼は外、福は内」と声高らかに豆を撒きますが、
中には「鬼は内、福は内」と唱えるところもあります。

それは鬼が祀られている場合で
鬼の神様が悪霊を祓ってくれるからです。

鬼(表)御福(裏) 根付 木刻 40㎜

鬼(表)御福(裏) 根付 木刻 40㎜

豆撒き(鬼やらい)は、とても神聖な儀式ものでしたから
人々は裃の正装でとりおこないました。

この風習のため江戸時代の人々は特にこの日のために
印籠と共に鬼やらいや豆撒き
鬼面や御福面の意匠根付を特注したと推測されます。

さて写真の根付は「布袋様の豆撒き」。

満面の笑み、豊かな福耳、頭には御福面をつけており
とても珍しい作品です。

布袋の豆撒き 根付 木刻 63㎜

更にアップの写真をご覧ください。
右手の拳と一升升(いっしょうます)の中には
豆がぎっしり彫刻されています。

また升が対角線上に仕切られていますが
これは升がふたつになって「升升(ますます)」
1升の半分で「半升(はんじょう)」
つまり語音の通じる「益々繁昌」を示唆する縁起物です。

無病息災!益々繁昌!
根付を愛する皆様のご多幸を
今年も心から祈念いたしております。

提物屋 吉田ゆか里

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