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提物屋ニュースレター バックナンバー Vol.10
根付と日本酒
二十四年前ほど前、パリで開催された根付コンベンション(展示会・大会)において
「根付と日本酒」と、題した講演を、創業者のフレッシェルが行なったことがあります。
あまりの反響にコンベンション開催中、リクエストにお応えするかたちで三回ほど再講演を
行ったことは良き思い出ですが、この時のために日本から持参した様々な大きさの瓶に
入っていた日本酒は、一回目の講演中にはなくなってしまい、日本酒がまだ一般的では
なかった当時のパリで極東製の醸造酒を補充することはなかなかの困難を極めました。
私達はどうにか手を尽くして日本酒を入手し、そのおかげでその後の講演においても
参加してくださった方々に、ご満足していただくことができました。
冷酒というものを、たぶん生まれてはじめて味わったであろう欧米の方々の、
とても幸せそうな表情がいまだに忘れられません…
その際に展示した根付は、テーマに沿い、すべて御酒関連の意匠にしぼりました。
講演中は主役の座を御酒に奪われていた根付たちでしたが、コンベンション後に、
それぞれ新たなオーナーのもとへ旅立ちました。
以来、時は流れましたが今また、こうして日本酒にまつわる意匠のすぐれた作品を、
1994年当時を懐かしく思われる皆様へ、又、私共のニュースレターをお読み頂いている皆様へ、
ご紹介することができて幸いです。
ところで、提物屋ブランドの日本酒は、とてもおいしいと皆様に好評です。
パリ・コンベンションにご参加いただいた方はもちろん、ご興味ある方は、
いつでも東京のギャラリーにテイスティングしにいらして下さい。
こちらの日本酒は、三百年以上前に設立された澤乃井酒造さんによって造られたものです。
(ラベルは拙筆)。伝統的な江戸時代の醸造方法を用いて再現された元禄の味は、
現代の御酒とは非常に異なる味わいです。
冷やした元禄は、升で頂くのがお勧めの飲み方です。
まだ経験されてない方、どうぞギャラリー訪問時におためしください!
さて、以下に掲載されている作品は、最後の作品を除き、すべて酒の友を募集中です。
もちろん下戸の方も大歓迎です(件の御酒を瓢箪から飲み干して幸せそうに眠っている農夫は、
今はそっとしておいてあげましょう!)。
秋もたけなわ、あなたなら、どの作品を酒の友にされますか?
猩々
根付 銘 利次 十九世紀 3.6 cm
二人猩々
根付 銘 友久 十九世紀 3.5 cm
大盃猩々
緒締 鹿角刻 銘 正之 十九世紀 約1.8 cm
猩々面
左:木刻彩色 十九世紀 4.9cm
右:木刻 大正時代 4.1 cm
鞍馬天狗
根付 銘 光山 二十世紀 4.6 cm
百福図
煙管筒 (富久娘酒造)木刻・彩色 21 cm
酒呑閻魔
とんこつ 木刻・象嵌 十九世紀 8.9 cm
満月に猿
盃根付 木刻 十九世紀 8.3 cm
春画根付
根付 銘 蘭一 十九世紀 3.3 cm
鶴に蓑亀
盃 高蒔絵 銘 東川斎 明治・大正 9.75cm
酒のあと
根付 木刻 十八世紀 6.3 cm
提物屋ニュースレター バックナンバー
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